2011.3.11 14時46分
その時、俺は北海道の小樽にいた。
小樽の街で仕事仲間と海の幸を頬張り酒を呑み、
運河沿いを皆でただブラブラと
許してほしい
その後に起こる未曾有の惨禍の事など知る由も無いのだから
母からの突然の電話
『たいへんだ、恐ろしいほどの地震だよ。家が潰れるんじゃないか。物が棚からドンドン落ちる…』
我が街は地盤が強く、そこまでの揺れに襲われた事など記憶に無かった。
『とにかく、急いで外に出て周りに何も無い場所まで逃げて！』
母にそう指示するのが精一杯。その後、２日近く通信が途絶えたのだった。
小樽は不思議なほどに静かで、人々は街を何事も無いように歩いている。
仲間に電話での状況を伝え、情報収集の為に喫茶店に入った。
『いったい、何が起こっているんだろう』
ゆっくりと揺れる喫茶店のシャンデリア。
『広域にわたる地震…なのか？』
皆、携帯電話のワンセグを立ち上げ、そこに映し出される現実感の無い情景を見つめるしか無かった。
【マグニチュード８以上…】
（後にマグニチュード９である事が判明したが）
経験した事の無い地震。小樽にいてはその実感すら味わう事が出来ない。
そのギャップがどうしようもない不安を生み出す。
大津浪警報が出される。…大津浪警報？
初めて聞いた。これは尋常な状況じゃない。
『母は無事だろうか』
通信は全く通じない。母はメール機能を使う術（すべ）を知らないのだが、規制されてるのかメール送信すらできやしない。
キャリアによってはメールだけは通じたりしていたようで、皆家族の安否を確かめようと必死だった。
…俺のＡＵケイタイはただのカメラ付きワンセグ受信機と化していた。
（続く）
話題:東日本大震災
12.3.12 21:18 Mon
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