今になっても
いや
今となってしまったからかわからないけど
いったいどうしてこんな風になったのだろうという事が多々ある。
後悔とかそういうものでは決してない。
過去、現在とは違う状態にあった自分を
少しだけ羨ましく思ったりはすはするものの、
結局過去に何度戻ろうとこの今の状態になる選択を選ぶのだろうから
やはり後悔ではない。
と、思っている。
夏が終わってしまったら
これも終わってしまうかもしれない。
それでも
そうでなくても
私は只、何事も無かったように上を歩いてゆくのだろう。
穴にはまらないように
溝につまづかないように。
今の私には転ぶための小石が必要だ。
そう思うのに。
よける術を身に付けてしまった。
――――
渋谷に行って
久しぶりにスイパラ行って
次の日に
久しぶりに川越行って
久しぶりに道頓堀でポチーズ。
な
な つ が お わ る
なんて。
そんな
ばかな。
海のふた
西伊豆が舞台で
そうでなくても小説というには
私にはリアルすぎる。
海と山にぐうるりと囲まれた
バスと道路の終着地。
ふきだまりのような場所。
次第に呼吸が浅くなってゆく集落と海。
親密すぎる人と人
便利なチェーン店と虚ろになってゆく小さなお店。
何処からともなくやってきては帰ってゆく違う空気を纏った人たち。
――人と言うよりは生物と感じる。観光客という生物。――
よみおわって貝を拾って帰ってきた。
そんな事をして
手伝いをしなかったら
80過ぎのジジババに対して
思いやりがないと怒られた
(前日、手伝いを頼まれたのを断った)
80さいだって。
おじいちゃんの腕の色とは対照的に真っ白なお腹。
おばあちゃんの亀みたいな手。
不思議な色の目。
おばあちゃんは強い。
簡単に私を泣かせる事が出来る。
前に座るだけで堪らなくなる。
泣かないようにくいしばる。
ああ
だからやだのに。
帰りたいと思う。
千葉のおうちに帰って
はやくベッドに横になりたい。
伊豆は大好きだけとやっぱり居れない。
電車に乗ってガタンと動きだすのをひたすらまつ。
ゆっくり動きだす電車に安心する。
もうしばらくはいい。
いつもそう思う。