(前略) 日本の制度にさまざまな問題点があることは確かだった。改革が必要な分野も少なくなかった。しかし日本の消費者の利益にもなるなどという理屈で、そもそも外国政府からの内政干渉を正当化できようか。独立国として本来絶対に受け入れられない選択である。
また、消費者の利益を絶対化するのも物事の一面しか見ない浅慮である。国民は消費者としての顔の他に、勤労者や経営者としての顔も同時に持っており、その多くは日本の既存の経済秩序の中で生計を立てている。外圧によって日本の社会・経済構造が突き崩され、労働者が職を失ったり、中小企業が倒産に追い込まれ、生活の基盤を失わされるようなことになればそもそも消費どころではなくなってしまう。
『規制緩和』であれ、『民主化』であれ、よその国の政府がわたしたちの国のことに口をはさんでくる場合には、その真意をよくよく推し量ってみる用事深さが必要ではないだろうか。
日米構造協議のときに、アメリカ政府が膨大な人員とエネルギーを費やして日本の商習慣や社会構造を調べあげ、日本の政府に対して改革を繰り返し要求したのは、本当に日本の消費者の利益を改善することに関心があったからだろうか?アメリカの選挙民や政治献金のスポンサー企業は、アメリカ政府が日本の消費者のために熱心に働くなどということを喜ぶほどおめでたいのだろうか?


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