話題:車全般


夏に草取り作業を手伝ってくれた生徒のお祖父さんが最近運転免許を返した話

その生徒の家の前をたまたま通りかかったので挨拶しようと門の中に入ると、いつも庭の脇にある筈の軽トラがなかったのだよ

祖父さん出掛けてるの毛?と生徒に尋ねると、「免許を返したので手放したみたいです」と返事が

それ聞いて来年の草取りも心配になったけど、何となく寂しい気持ちになってしまった

高齢者ドライバーの事故が多発してるし、事故にならないまでもおかしな動きをしてる車の運転席には結構な割合で年寄が乗ってるのを見るから仕方ないとは思うけど、仕事面でのリタイアに続き、運転免許も返してしまうって本人にとってはどれだけ辛いことか

年寄は大人しくしてろと社会から圧力を掛けられてるような…

孫の声が聞こえたのかお祖父さん出てきて「よお!先生元気かい?」と明るく挨拶してくれたのでよかった

そしてお茶をごちそうになったのだが、縁側に腰掛けた瞬間、祖父さんの口から免許返納の話が出た

まだ運転できると思うけど、頭がまともなうちにやめることにしたんだと

だけど未練タラタラでさ、運転席に敷く座布団買ったばっかりだったんだよな〜、なんて言ってた

そうですか…、不便になりますね。でも勇気ある決断ですね、と返しておいた

そしたら祖父さん、俺が発した『勇気ある決断』という言葉が気に入ったみたいで、熱いグリーンのお茶の入った湯呑を手に持って姿勢を正した

だけど本当に気の毒だ

これからは他人が運転する乗り物に乗らなきゃならないのだから

乗ってる間はいいけど、乗り降りが大変なんだよね

駅では人混みをかき分けてホームに辿り着かなきゃならないし、バスだって、降りる時にもたもたしてたら気が短い野郎に文句言われるかも知れないし

それが嫌ならタクシーだけど、セダンのタクシーは座席が低い位置にあるから、やっぱり降りる時が大変だよ

これから足が弱って行くから、ますます大変な思いをすることになる

それでも事故でも起こして他人に迷惑を掛けるよりはずっといいのだけどね



返してしまった免許とその先の不便さについて予想するより別の話題を振った方がいいかと思って、庭の植物について聞いてみた

そしたら面白い物がなってると見せてくれたよ

レモンなんだけど巨大な実

写真にうまく収まるように実をこっちに寄せてくれたよ祖父さんが

まだ75で元気なんだよね

70まで仕事バリバリしてた人


年をとるというのは何と悲しいことか

社会性を保ちながら生きてゆくことさえ許されない世の中

あと50年たったら俺も同じ気持ちになるんだろうな

でも…、そんなことより巨大レモンが欲しいと思ってしまった神田でした