ゼノク・司令室。西澤はシステムがハッキングされていたと知る。


「長官、ゼノク全システムハッキングされてます!」
「いつの間に!?」

西澤はメインモニターを見た。
メインモニターにはハヤウエらしき人物と武装集団のメンバー複数。サブモニターには病院へ繋がる連絡通路が映っている。


「ヴェルダの夜明けか…何の目的で!?」
あの冷静な蔦沼が冷静さを失いかけている。西澤はえらい冷静に続ける。

「研究施設ではないでしょうか…。ハヤウエは怪人だと判明した。
いくら堅牢な防衛システムでも簡単にシールドを破りましたからね」
「ゼノク隊員の様子は?」

「本館でなんとか食い止めてる状態です。さすがにうちの隊員だけだと戦力が劣るからと、本部から応援が来るはず…」



武装集団メンバーの1人・ハヤセはタブレットでゼノクのシステムを操作中。


「レオナ、第2連絡通路の防弾シャッター開けますよ〜」
「早く開けてよハヤセ!加賀屋敷を始末出来ない!」


「そう慌てなさんな」

ハヤセは本館の外、駐車場の車内にてシステムを弄っていた。
やがて第2連絡通路の防弾シャッターが開く。



ゼノク隣接・組織直属病院第2連絡通路。
御堂は突如開いた防弾シャッターに戸惑いを見せた。


なんでシャッターが開いたんだ!?何が起きてんだ!?


開いたシャッターからナイフを構えたレオナがついに侵入。


「ようやく入れましたよ。…あなたですか、御堂隊長というのは」
レオナは冷笑する。
「お前…!前に襲撃してきた連中のひとりだろっ!病院になんの用だ」

「加賀屋敷を始末しに来たんですよ。彼は組織を裏切りましたから」
「加賀屋敷は今手術中だ。邪魔はさせねぇ」

御堂は銃を構える。撃つ気はないが、場合によっては…。


「そこをどきなさい」
「嫌だっつーの!」
御堂は譲らない。鼎はまだ手術中だ。行かせるわけにはいかない。

「あなたがいるということは、紀柳院司令補佐がいるということですか…。わかりました。一旦退きましょう。私は紀柳院さんの味方ですから」


鼎の味方って、どういうことだよ!?


レオナは察した。紀柳院さんは今まさに手術を受けていると。



ゼノク隣接・組織直属病院第3手術室。手術は佳境を迎えていた。


「チーフ、血圧低下してます!」
「処置を!紀柳院を死なせるわけにはいかない…。患者の体力が持たないのか!?紀柳院、生きろ!!生きるんだろ!!」


一時、心停止したもののなんとか必死の処置で鼎は最悪の事態を免れた。そして、手術終了。

鼎はICUへと搬送された。



御堂は姫島から手術成功、ICUにいると伝えられる。


「あいつ…もう大丈夫なんだよな…」
御堂は安堵の表情。

「私達は最善を尽くしました。彼女も頑張りましたから。
やけに騒がしいですね、何が起きてるんですか」


「武装集団がゼノクに来やがった。加賀屋敷がヤバいかもしれねーぞ」

「加賀屋敷が!?その武装集団の名前は」
「ヴェルダの夜明けだよ。病院目的じゃねーみてーだが、病院は死守しないとマズイだろ。数分前に接触した女、加賀屋敷を裏切り者と言っていた」


裏切り者…。



本部から応援が到着。桐谷はいちかに指示を出した。


「病院には御堂さんしかいません。いちかさんの装備なら安全に守れるはずです」
「ラジャー!」
「第1連絡通路から入れるとの情報が入ってます」

「第1連絡通路?」
「1階にある本館から病院に繋がる通路ですよ。西澤室長がなんとか開けてくれたみたいで」
「システムハッキングされてんのに、よく開けたな…」


「長官が何か細工したようです。ゼノク司令室にはなにやらあるようですね」
「きりやんはどーすんの?」


「ゼノク隊員と合流し、武装集団と戦います。ハヤウエは止めなければ」
「じゃああたしはたいちょーのところに行ってくるね!」


いちかは病院へ。そこで御堂と合流。


「たいちょー!」
「いちか、お前どこから入ってきたんだ!?」
「え?1階の連絡通路」
「あそこ閉まってたんじゃねーのかよ」

「西澤室長が一時的に開けてくれたみたい。あたしも病院を守るからっ!」
「鼎の手術は成功した。あいつはICUにいるよ。
どうやらゼノク医療チームの加賀屋敷を狙っているやつがいる」

「きりゅさん…」



本館ではゼノク隊員&応援の本部隊員vs武装集団の戦いが激化。


「ハヤウエを止めろ!!」
「あいつどこに…!」
焦るゼノク隊員。二階堂と粂(くめ)はかなり冷静。

「ハヤウエの狙いは本館じゃない気がするんだよね…」
「私達のことはどうでもいいみたいな感じでした。他のメンバーを使い捨てのように扱ってる」


「二階堂さん、私と一緒に動いてくれる!?あんたのその義手の力が必要なのよ!!戦闘兼用義手が!」
「わかっていますよ…粂さん」

「三ノ宮・上総、後は任せましたよ。桐谷さんもいるから大丈夫なはず」
「ハッキングをなんとかしないと動けないな…。防弾シャッターに阻まれてうまく動けない」


三ノ宮は単独で動き始める。司令室はどうなってる!?



粂と二階堂は研究施設に先回りしていた。


「粂さんどういうことですか!?」
「あいつの狙いはたぶん、研究施設だよ。研究施設の中にある『何か』だ。とにかく止めなくちゃ!」

「だから私が必要なんですね」
「そ。二階堂の戦闘兼用義手の性能は長官よりも高い。怪人相手に時間稼ぎは出来るかもしれない」



病院ではレオナが再び突入。加賀屋敷を探していたが。


「何しに来たんだてめー!」
「だから加賀屋敷を始末しに来たんですよ」

レオナは早く加賀屋敷を見つけたいらしく、どこか落ち着かない様子。そこにいちかがワイヤーを展開、ナイフを強奪。


「させないよ。きりゅさんを何度も助けた人なのに、なんで!?」

「きりゅさん」とは紀柳院司令補佐のことか!?


「組織を裏切りましたからね、彼は。ゼルフェノアの犬になった加賀屋敷はもう、必要ない」

「必要ないなんてひどいよ!きりゅさんを助けたのは知ってるんでしょ?
なんできりゅさんの味方なのに、ちぐはぐなこと…言ってるの。おかしいよ」


レオナは自分がなぜこの武装集団にいるのかわからなくなってきた。
いちかは必死に説得を続ける。ワイヤーでレオナの動きを封じつつ、話し合いで解決しようとしている。


「たいちょー、たいちょーはきりゅさんの近くにいてあげて」
「いちか…」

「あたしはこの人を説得するから!話が通じそうだもの!こんなことをしても無意味だって」


御堂はいちかに託し、鼎の近くに行くことに。
彼女はICUにいるため中には入れないが、側にいたかった。



いちかは必死に説得を続ける。感情的ないちかはぼろぼろと泣いている。


「きりゅさんは…司令補佐は…加賀屋敷さんなしでは助からなかったって聞きました。だから始末しないで!
そんなことしても無駄なのに!考え直してよ!!きりゅさんの味方なんでしょ?…なんで本部襲撃の時…きりゅさんに何もしなかったの?なんで助けたの?」

「そ…それは……」
レオナに迷いが生じ始めた。いちかは純粋な子だ。思ったことをストレートに言う。


レオナはなぜ鼎の味方だと言ってあの時助けたのか…わからなくなっていた。
あの時助けたのは自発的な行動だ。指示されたわけではない。


「あなた…名前……なんていうの」
「時任いちかだよ」


時任…時任眞(まこと)の妹か。ゼルフェノア隊員だったなんて。


レオナはいちかを見ていられなかった。体の力が抜けていく。

「ねぇ…こんなことやめようよ。お願いだからやめてよ!病院を狙うなんてどうかしてるよ!」
「私は加賀屋敷だけ狙ってた…。病院は狙ってない…」



いちかvsレオナ、拮抗状態が続く。


御堂は加賀屋敷の元へ。

「加賀屋敷!武装集団のレオナと何があった!裏切り者ってどういうことだ!」
「御堂さん、そこは踏み入れてはいけないのに」


「お前を狙っているやつがいるんだよ!!」
「わかっているよ。こうなることは最初からわかってたさ」



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