ゼノク本館3階では御堂vsマカベが近接戦で戦いを繰り広げてる。

「だーっ!しつけーなー!なんなんだよお前らは!!」


御堂、キレながら攻撃。御堂はマシンガンを持つ相手にハイキックでマシンガンを蹴飛ばし、肉弾戦へと持ち込んでいた。彼は銃で殴りつけている。

「ハヤウエ様の目的は明かせない。俺達駒だから」
「なんかお前、ムッカつくなー!!」

御堂、一気にプロレス技でマカベをがんじがらめに。滅多にやらないけど、御堂も晴斗同様プロレス技はある程度は出来る。
この攻撃は予想外だったらしく、マカベは敗北。ナイフでも切れないような頑丈な縄で縛られた。


「メンバーはあと何人いる?」
「誰が言うか」


そこにいちかの通信が。
「たいちょー、駐車場に支部隊員が来てるっす。交戦中みたい。たいちょーは本館にいた方がいいよ。
あたしは病院にいるから」
「レオナはどうした」


「動けなくしてやりました。縄で縛っといたっす」

いちかの声がどやってる。


「そいつは戦意喪失してるから見張っとけ。加賀屋敷がいるから大丈夫か」
「たいちょーはハヤウエどうにかした方が良くない?」
「俺1人じゃ無理あるだろが!システムハッキングされてんだぞ!!」
「そうだよね…」

急に冷静になるいちか。御堂は3階からハヤウエがいるらしき1階へ向かうことに。



その頃の駐車場。囃vsハヤセはハッキングされたシステムを操作出来る、タブレットを巡る攻防が続く。
ハヤセは肉弾戦メインのメンバーだが、マシンガンも装備。

「タブレットよこせ!」
「やだ」


月島は空気を読みつつ、かなり小さいハープ型の武器を出した。そして軽くポロンと鳴らす。この武器は相手を戦意喪失させる効果がある。衝撃波は発生しないため、被害はない。

「囃さん、今です!」
囃は野太刀型ブレードの峰で殴り、気絶させるとタブレットを奪う。これでハッキングされたシステムを操作することが可能になった。


三ノ宮は裏ルートから駐車場に来ていた。
「囃さん!タブレットを!!」
「おうよ」


こいつ、ゼノク隊員の頭脳派メガネじゃん。どこから来た!?
館内のほとんどは防弾シャッターで閉じられているはずなのに。

囃、困惑。ゼノク本館の裏ルートの存在は隊員でも数人しか知らないため、不思議に思われてもおかしくない。


彼は三ノ宮にタブレットを渡した。三ノ宮は西澤の指示通りに一部の防弾シャッターを解除。ハヤウエが向かっている研究施設への道の防弾シャッターは閉ざされたままだ。


「三ノ宮、研究施設前には粂(くめ)と二階堂がいる。御堂も合流する手筈だから彼のために道、作っといてね」
西澤から通信が。通信から察するに、司令室は無事らしい。
「了解しました」

三ノ宮は自分のノートPCとタブレットを駆使し、ハヤウエを止める流れに。



ゼノク・地下本拠地。特殊請負人の地下本拠地は地上とはシステムが独立しているため、ハッキングされていない。
だが、そんな地下にも危機が。


「憐鶴(れんかく)さん、大変です!地下に武装集団が!」
苗代が慌てて報告。憐鶴は至って冷静。

「苗代・赤羽。地下は網の目のように複雑ですよ?ゼノク隊員ですら完全には把握出来てないんですから」


憐鶴は2人に彼ら用の黒い薄手のコートを無言で突き出した。「着ろ」という意味だった。

2人はコートを着て臨戦態勢に。憐鶴は執行人モードのスイッチを入れるため、黒いベネチアンマスクを被り、フードを被る。憐鶴は既に黒い制服姿なのでフードと仮面で「執行人」となる。
彼女の黒い仮面の左頬には控えめな装飾が際立つ。


本拠地を出た3人は武装集団を迎え撃つ形に。地下に侵入した武装集団メンバーは3人。
ナガト・キヅチ・オオシマの3人だ。

3人の武装集団メンバーはハヤウエと合流するべく地下へ行ったものの、迷い込んでしまったらしい。
迷宮のようなゼノク地下は初見にはキツい構造。


3人はそこで黒衣の集団と対峙する。1人は女性のようだが、フードに黒い仮面姿だ。
ナガトはいきなり憐鶴達に攻撃するも、あっさり受け流される。

苗代と赤羽は憐鶴の協力者だが、戦闘力は高い。2人は裏稼業で憐鶴に鍛えられたせいもある。


「この3人、人間ですね」
憐鶴は冷静に分析していた。苗代と赤羽はそれがわかるとすぐに理解した。

『気絶させるなりして、戦闘不能にしろ』…という意味だ。執行人一同は怪人相手なら容赦ないが、人間相手だと多少は加減する。


キヅチとオオシマも攻撃を仕掛けるが、黒衣の3人には敵わない。強い…!
憐鶴は対怪人用鉈・九十九(つくも)の刀身を覆う布をそのままにし峰打ち状態にして気絶させている。


憐鶴達からしたら大したことない相手だった。短時間で武装集団のナガト達を倒していた。
苗代達は縄でギッチギチに3人を縛りあげている。

「簡単にはほどけないからな〜。特殊な縛り方してやったぞ」
「しかも、この縄簡単には切れないよ。あんたら何しに来たんだよ?」


赤羽、尋問モードに。赤羽はチャラチャラした感じだが、尋問めいたことをやらせたら強い。


「ハヤウエに合流しようとしたんだよ!」
怯えるナガト。憐鶴は九十九を突きつける。

「ハヤウエとは誰ですか?首謀者か?」
黒い仮面の女の気迫は半端なく、圧力を感じる。ゼノクにこんな集団がいたなんて知らないぞ!?


3人は縄を切ろうとするが、なかなかうまくいかない。苗代は軽く笑った。

「ただの縄じゃないから諦めな」
「苗代、いくらなんでも亀甲縛りはないだろうよ…。なんでそんな縛り方した?」

赤羽は「苗代の変な癖が久しぶりに出たな」とやれやれしてる。


憐鶴は縄で縛った3人を地上へ連行。地上のわざと目立つ場所で再び気絶させると、3人を置いて再び地下へ。
執行人一同は人間相手には手加減する。だから憐鶴は峰打ちしたのだ。



憐鶴達は再び本拠地へ戻ると、多数のモニターやPCが並ぶ部屋でゼノク館内をチェック。
武装集団の動きを見てると、首謀者のハヤウエらしき人物は研究施設へ向かっている。ハヤウエの周囲には怪人の反応がある。


「ハヤウエは怪人の可能性が高いですね」
「憐鶴さん、どーすんのさ!?」
苗代は大袈裟。

「首謀者が怪人となれば話は変わりますよ。どうやら粂と二階堂は先回りしているようですが…ハヤウエはシールドシステムを単独で一部損壊させている。
厄介な相手だと思われます」

「俺達3人と粂と二階堂じゃヤバくない?」
「館内には御堂さんがいます。研究施設へ向かってますね。
私達も地下を使い、行きましょうか。研究施設へ。目的はわかりませんが、阻止しなければ」



その頃の御堂。1階にはハヤウエらしき姿がない。研究施設に通じる道は1階以外にもあると気づいた。

…4階か!?


御堂は通信を入れた。ゼノク隊員に。


「研究施設に先回りしている隊員がいるんだろ!?」
「私と二階堂のことかしら?…御堂隊長!?」

「ハヤウエは1階にいない。研究施設に通じる通路は4階にもある。奴は4階から来る可能性がたけーぞ!!」
「4階!?わかった!」
「俺も合流する!」


御堂、エレベーターで1階から4階へ。
先回りしていた粂と二階堂はふたてに分かれて1階と4階へ。



ゼノク隣接の組織直属病院の一室。いちかは玲央名にゼノク襲撃の目的を聞いていた。


「玲央名さん達の目的は何!?ハヤウエとかいう奴の目的はなんなの!?
言いなさいよーっ!!」
「…言わなきゃダメですか」

「玲央名さんはきりゅさん…いや、司令補佐を助けてるからまだ加減してるよ。
目的吐かなきゃ容赦しないからね」

いちかの声が怖くなる。
これに観念したのか、玲央名は吐いた。


「私達の目的はゼノク研究施設です。研究施設のとある部屋が目的です」
「その部屋なんだよ?言えよ!!」

急にタメ口になるいちか。


玲央名は言えないらしく、自殺をしようとするがいちかに止められる。


「死んで隠す気なの?生きて罪を償いやがれってんだよ。だから死ぬな。司令補佐を勝手に助けておいて、勝手に死んだら許さないからね!!」

玲央名はうろたえた。この子…芯が強い。見た目は子供っぽいのに、しっかりしてるな…。


「わかったよ…。言うよ。でももうハヤウエは止められないかもしれない。
…研究施設の『Z-b2』が目的。ハヤウエはそこを探している…」


加賀屋敷は嫌な予感がした。「Z-b2」…なんであの部屋番号をハヤウエは知ってるんだ!?
ゼノク研究員のほとんどが知らない部屋番号…「Z-b2」。

怪人に関する研究施設がこのゼノク研究機関だが、謎は多い。
加賀屋敷は断片的にだが、この研究施設を知っていた。



御堂は4階に到着。ハヤウエを探す。一体どこにいるんだ…!


地下にいた憐鶴達は地上へ。そして粂と合流。
「あんたが『執行人一同』か。仮面のあなたが憐鶴なのね」
「そうですが」


「話は西澤から聞いた。憐鶴は4階に行きな。
私達はこっちにいるから。二階堂の戦闘力とあなたの戦闘力ならなんとかなりそうよね」
「過信はいけませんよ」

「…わかってるよ。1階から来る可能性もあるものね。しかし、まさか苗代と赤羽がその執行人の協力者だったとは…」
「粂は俺のこと知ってるだろうが」


苗代が突っ込む。


憐鶴は4階へ。そして二階堂と合流する。

「あなたが動くなんてよほど重大だということですか…」
「まぁ、そんな感じですかね。二階堂さん」

「仮面姿ということは臨戦モード…ですよね」
「スイッチがこれなので」


2人の会話が淡々と進む。

二階堂は右腕の義手を展開した。刃物を展開したのだ。


「怪人の気配がします」
「雑魚多そうだな〜」

憐鶴は九十九の布を解いた。ハヤウエは怪人という情報は既に入ってる。戦闘員クラスを従えてこっちに向かっていると。



御堂は突如出現した戦闘員と戦っていた。


いきなり怪人!?やっぱりハヤウエは近いのか!?


ハヤウエの動向がわからないまま、殲滅する御堂。



研究施設前、1階と4階の連絡通路でほぼ同時に爆発音がした。いよいよか…?


待機していた5人に緊張が走る。



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