研究施設正面出入口前。御堂達は必死に隊員証をスキャンするも何度もエラーが出る。
第1段階の隊員証(カードキー)がスキャンされないと次進めないだろうが!!

御堂はイライラしていた。


「三ノ宮ぁ!入口まだ開かねーのかっ!!スキャンされねーぞ!!」
「あと5分待って…いや3分でいいから待ってって…。今システム弄ってますからー!!」
通信からの怒号に焦る三ノ宮。これだから口の悪い御堂さんは…。


武装集団によって閉ざされた研究施設正面出入口や4階連絡通路に直結している出入口は、隊員証(研究員はカードキー)をスキャン→指紋認証→顔認証を経て研究施設に入ることが出来る。
場所によっては扉横のパスワードを入力しないとならない。


御堂は扉に蹴りを何度も入れるがびくともしない。

「敵がこん中入ってる可能性あんだろが!!」
「御堂さん落ち着いて下さいってー!」
苗代は御堂を制止しようとする。


そして。ようやく研究施設正面出入口のロックが三ノ宮によって解除される。

御堂は隊員証をスキャンしてみた。赤い小さなランプが緑に点灯→指紋認証へ。指紋認証→顔認証と第3段階まで行き、扉が開いた。


「中入るぞ。憐鶴と二階堂は俺の側につけ。苗代と赤羽は後方な。粂(くめ)も後方についてろ」
「うわ〜、一気に隊長ヅラしてる」

粂はわざとらしく呟いた。御堂は言い返す。
「隊長ヅラって…俺、隊長だぞ。本部の」

「わかってるわよ」


御堂達は研究施設に突入。

研究施設はゼノクメイン施設よりも複雑化していた。


「なんじゃこりゃ…デカっ。広っ!メイン施設よりも複雑じゃねーか」

御堂は初めて入る研究施設に緊張。よく見ると通路や扉が開いてる部屋には、武装集団に拘束された研究員がちらほら見える。


「研究員、助けないと…」

二階堂は気になる様子。
1階でA〜Gエリア担当の研究室長を見つけた。室長も拘束されてはいたが、他の研究員とは違い猿ぐつわはされてない。

「あれって、夏井室長ですよ!」
「夏井室長?」
御堂達は「誰?」なリアクション。

「A〜Gエリア担当の研究室長です。研究施設には室長が数人いるんです。ちょっと話聞いてみます」


「二階堂…お前、なんでここ…そこそこ詳しいんだ?」
御堂の疑問に二階堂が答える。

「私の義手と義足、ここで作って貰いましたから。
戦闘兼用なんで、研究施設で試着したりしましたよ。あのDエリアは戦闘兼用義肢の研究室と製作所です、全部」

「全部!?」
一同驚く。Dエリアだけでも部屋いくつあるんだよ…。ざっと6部屋はあるぞ…。それ以上か?

「研究施設には義肢装具士も数名いるので、民間からも依頼が来るんですよ」


Dエリアが義肢エリアだと!?
しかも戦闘兼用義肢以外も作っている上に、民間からも依頼が来るって…。
拘束されてる人の中には義肢装具士もいるのかよ…。


二階堂は夏井室長に何があったか聞いてみた。


「夏井室長!何があったんですか!?」
「二階堂か…。武装集団に殴られて気がついたらこんな感じに…」
「研究員は全員拘束されてるの!?」

「これだけ広いと全員拘束は無理じゃないかな…。特に地下のXYZエリアはセキュリティかなりキツいから研究員は無事なはず」


XYZエリアってなんだ!?地下って言ったよな…。


「室長、ありがとうございます。後で助けに向かいますから」
「なにがなんでも阻止してくれよ。
…あ、ちょっと待て。先にゼノク医療チームが地下に行ったようだが、彼らは任務を全うしているだけだから、君たちは武装集団を止めてくれよ」

「わかった!!…で、地下はどう行けばいいんだよ!!」
焦る御堂に夏井はある方向を示した。


「この先にあるエレベーターを使いなさい。向かって右側だ。ゼノク医療チームが先に行ってるはずだから地下へ行ける」

二階堂は礼を言うと、御堂達は地下へ通じるエレベーターへと走った。


地下へ通じるエレベーターは2基ある。もう1つのエレベーターにいたハヤウエ達はパスワードがわからない様子。


「あと1回ミスったら終わりだ。パスワードを割り出せ」
ハヤウエはイライラしている模様。怪人態になり、破壊してもいいが…。それだと本末転倒だ。

「わかってますよ、ハヤウエさん。…イノウエも手伝えよ!」
「…はい」


武装集団にほころびが出始める。チーム崩壊しかけてる武装集団。
ハヤウエがイライラしてるのは目標が近くにあるのに、パスワードごときで辿り着けないことだった。



御堂達はすんなりと地下エリアへ。地下は1階までしかないんじゃなかったのか!?なんで地下5階があるんだよ!!


「…デカっ!!地上もでけーのに、地下どうなってんだよ…。
地下5階が奴らの目的なのか?最下層だし…エレベーターのボタンにはB1としかなかったぞ」


地下5階。そこは全てZエリアだった。


Z…?地下5階は全てZだ…。


部屋番号を見るとZ-a1からZ-c3まである。
ZはABCと123までの9部屋あるな…。


御堂達は慎重に地下5階を進む。ゼノク医療チームはどこにいるんだろうか…。

それにしてもZエリアは全ての部屋がデカイ気がする…。実験場も兼ねてるのか?



御堂達は「Z-b2」にゼノク医療チームらしき4人を見た。


「あれ?君たち、辿り着いたんだ。ハヤウエかと思ったよ」
加賀屋敷が涼しげに言う。

「お前…加賀屋敷!」
御堂は鼎から命の恩人の写真を見ていたのですぐにわかった。
「御堂隊長だね。ハヤウエがそのうち来るだろうから、ここを守る戦いは必至だろうな」

「この部屋…何?実験場みたいだけど」
「この部屋はゼノクの最高機密があるから教えられないな」


部屋の中に何か見えたが…なんだあれ?
地下5階はやけに頑丈に作られてるように見えるが…。ゼノクは全体的に要塞のようになってるが、とりわけ研究施設は要塞感が強い。


御堂はこの部屋に隠されたゼノクの機密情報が気になっていた。
部屋の中に見えたもの…怪人に見えるんだよな…。丁寧に封印されているようにも見える。なんだあれ。

なんでこんなものが?



ハヤウエ達は正しいパスワードを入力、ようやく地下へ。

地下に轟音が鳴り響く。


来たっ!!


御堂達とゼノク医療チームに緊張が走った。
いよいよ来たのか…ハヤウエが…。



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