元の世界に戻るため、時空の歪みの異界で半ば強制的に生き残りゲームを受けることになった鼎達7人。

次の第2ウェーブまでは休憩出来るため、7人は運営が提供しているある建物にいた。
それは昭和レトロな喫茶店のような場所。


「ルールに鬼ごっこなんて書いてなかったぞ!?あんなのありかよ!?」
御堂、不満げな様子。鼎は淡々としながら御堂をなだめる。


「和希、落ち着け。鬼ごっこ要素もあるとなると…作戦会議が必要だな。
あの鞭使いの怪人は厄介だ。いくらルールで防御可能とはいえ、鞭や矢相手だと防御は難しい」

「ボーナスアイテムと無の存在が鍵じゃないかしら」
朝倉がこんなことを言ってきた。彼女はメロンクリームソーダをのんきに飲んでいる。


「朝倉、お前…がっつり休憩してんな…」
霧人もくつろいでるが。桐谷は紅茶を飲んでいた。


晴斗は内装を見渡す。どこからどう見ても喫茶店。

「運営がこんな休憩所を提供してるなんて、意外だよ。あのゲームマスター、マジで何者?」


そんな晴斗はコーラを飲んでる。休憩所には運営スタッフが2人いた。1人は喫茶店マスターのような男性、もう1人はウェイトレスのような出で立ちの女性。


「ねぇ、マスター。ゲームマスターってどういう人なのー?」
いちかは無邪気に聞いてきた。意外と度胸がある。しかもはむはむとサンドイッチを食べながら。飲み物はカフェオレだ。


マスターと呼ばれた人はこう答えた。
「ゲームマスターは読めない人ですよ。現代から時空の歪みを利用してプレイヤーを集めてますからね。今回は全員ゼルフェノアの方々ですから、明らかに狙いがあるかと」


狙い…か。御堂はやはり引っ掛かっていたようだ。


御堂はスポーツドリンクをガブガブ飲んでいた。どうやらこの休憩所、オーダーすれば無料で何でも出てくるらしい。
ルールがシビアなぶん、休憩は緩いようだ。


朝倉はスマホでゲームフィールドを分析中。解析班の本領発揮。


「ねぇ。ボーナスアイテムと無の存在については詳細が出てないの、気にならない?
第1ウェーブではそんなやつ、いなかった」
「出るとするなら第2ウェーブ以降ってわけか」


霧人、朝倉の推理を読んだ模様。

「きりゅさん、たいちょー、みんな…元の世界に戻れるよね。あたし達」
「だから備えるんだろ、第2第3ウェーブにな」

御堂は士気を下げないようにしてる。



休憩時間は最低1時間はあるため、やけに長く感じる。

鼎も飲み物を飲んでいるようだ。御堂は鼎を見て思った。


…なんで戦闘出来ない身体の鼎が、プレイヤーにエントリーされてるんだ?
ゲームマスターのやつ、何考えてやがる…。

でも鼎は頭を使い、ポイントを淡々と稼いでいた。


朝倉はゲームフィールドのマップを見て気づいた。

「ちょっといい?ボーナスアイテムらしき箱、ここらへんにあるかも。…罠かもしれないけどね」


ゲームだからあり得るんだよな…。
鞭使いの個体相手の場合刃物でも使わないと、かなりの無理ゲーじゃないですか…。

矢はまだ避けられたとしても、鞭はなぁ…。


いちかは馴れ馴れしく、運営の女性に聞いてきた。


「ねーねー、『無の存在』ってどういうやつなの?」

「第2ウェーブから無の存在は出現しますので、すぐにわかりますよ。ボーナスアイテム出現はゲームの進行次第ですが」


第2ウェーブから本番ってわけかい。つまり、第1ウェーブは茶番だったわけか。


「お姉さん、休憩中は寝てもいいの?」
のんきなことを聞く、霧人。どうやら休憩中は自由らしい。

第2ウェーブはいつ来るのかわからないため、体力の温存は必要になる。
霧人はソファーへ移動すると仮眠に入った。


しぶやん寝るのはやっ。



ゼルフェノア本部・司令室。宇崎はある連絡に慌てふためいていた。


「長官、どういうことですか!?うちの7人の隊員と連絡つかないって」

「言っても信じて貰えないが、不可思議が電車が目撃されたらしい。本部周辺で。その時間帯、紀柳院…いなかったか?」
「いましたよ。彼女は御堂と共に帰宅してましたが。電車がどうかしたんですか?」

「…いや、なんでもない」



異界ではまだ第2ウェーブの気配なし。
いちかまで仮眠モード。

かれこれ2時間くらいは休憩しているようだが、運営の2人が言うには怪人はいきなり来るため運営もわからないらしい。


「第2ウェーブ、いつ来るんだ」
「鼎、気を張りつめてねーで休憩中くらいはリラックスしたら?」

御堂は鼎を気にしてる様子。鼎は御堂を見た。鼎の顔は顔の大火傷の跡を隠すために白い仮面を着けているのだが。


「元の世界に絶対、戻ろうな」
「…うん」



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