感謝するエクササイズで感謝力を高めよう!

感謝することも、物事の良い面を見ることで幸福感を高め、ストレスを減らし、免疫力を高めることが知られています。実際、長寿の人は、不満よりも感謝を口にする傾向があると報告されています。

ある研究では、参加者に感謝していることを五つ挙げてもらうという課題に、週に一度ずつ十週間、もしくは毎日の頻度で二、三週間、取り組んでもらいました。その結果、感謝する取り組みに参加した人は、参加しなかった人に比べて幸福度が高く、身体的症状が少なく、健康的な行動が増える傾向を示したということです。感謝する習慣を作るだけで、大きな変化が生まれたのです。

別の研究では、同様の課題に取り組んだだけで気分が高まり、よく眠れるようになり、人との絆が強まったと感じられるといった効果を認めています。

感謝する傾向が強い人が幸福感を維持しやすいと考えられているのは、そうした人では快楽順応が起きにくいということによります。快楽順応は、何か喜ばしいことも、それに馴れっこになると、最初ほど喜びを感じなくなってしまう現象です。

感謝する傾向が乏しい人では、恵まれた境遇でも、不満だらけに感じてしまいがちなのです。しかし、そういう心のもちようが、気分だけでなく健康にまで影響するとしたら、是非とも感謝できる気持ちをもちたいものです。

興味深いことに、こうしたエクササイズに週一度だけ取り組んだ場合と、週に三回取り組んだ場合を比べると、週一度の方が気分や幸福度の改善には効果的だったという結果が出ています。そんなにしょっちゅう取り組んだのでは、やらされ感が強まり、課題の新鮮さも薄れてしまうのでしょうか。

クリスチャンが週に一度教会で祈りを捧ささげ、主に感謝するという習慣を長年維持してきたのは、もちろん信仰心ゆえでしょうが、そこから大きな恩恵が得られるという面があったのかもしれません。

クリスチャンでなくても、そうした知恵を生活に取り入れることは大切なことだと思います。週に一度、生活を振り返りながら、人からしてもらった良いことを思い出し、それに感謝することは、傷つきやすさや生きづらさを和らげ幸福感を高めてくれるに違いありません。

ただし、感謝するという課題の効果は、その人の身の入れ方によって大きく違ってしまったということも報告されています。それらの研究によると、感謝の手紙を書くという課題に取り組んでもらったのですが、効果が認められたのは熱心に課題に取り組んだ人だけで、また幸せになりたいという気持ちが強い人ほど効果がみられたということです。そうした人では、高い効果が現れるだけでなく、長続きしやすく、半年後も幸福感が高まった状態が認められたということです。