なんか気持ちが落ち着かないので。来た。
車検終わったからかはたまた嬉しすぎたか。情緒不安定は得意技。
前回の続きからにゃー
いつものように道徳ごっこしだした担任様。
六月に入ってから数学ばっかりになった授業。
実態は担任様の演説で、しかもまだ、テスト範囲に追い付いてない。
そりゃキレるわな。
「ねー先生ー、授業やろーよー」
担任様がにこやかにお話しし始めた所でA君が言った
これを皮切りにクラスメイト達は口々に不満を言い出した
俺等まだテスト範囲終わってないんでしょ?
そーだよ先生、授業ちゃんとしてよ
他のクラスもう次の範囲入ったんでしょ?
学校は勉強する所じゃねーのかよ
先生いい加減しつこい
同じ話ばっかりじゃん
みつをいいから数学しよーぜ
大体こんな感じ
…普通逆なんよ…なんで生徒が授業促進しとんねーん
で、まあ担任様はここでまた曖昧に流そうとした。
曖昧にやんくみごっこで、
「でもね、これは大切なことなの、皆が大人になった時の為に必要なことだから、」
みたいなこと言うて押さえ付けようとした。
が。我慢の限界だったのよなあ…
A君が立ち上がって周りの男子見ながら言った
「もうこんな状態じゃ授業受ける意味ねーよ!
なあ?!もう学校抜け出そうぜ!!
いつまでも担任っちゃんの話聞くだけじゃん!」
「おーいいねー!」
やんややんやで中心系の男子がお祭り騒ぎしだす
が、
担任が座りなさいとかなんか言っても無視するA君から決意が本物と分かり、
「え、マジで抜け出すの…?」と尻込みし、
やがてA君がこんな言うし俺等ももうやってらんねぇし、と覚悟を決め。
彼と、仲の良かった男子の五名がマジで教室を飛び出した
しかし。担任様は追い掛けなかった。
「待ちなさい!」と教壇から怒るだけのやんくみごっこ続行。
やんくみなら追い掛けるってのにね。だからごっこなんよな。
そんでこの時期、生徒会長がうちの学校では決まってた。
一学期に二年生から生徒会長決めて、本格的活動は二学期と三年生の前半。
で、三年の一学期に次の生徒会長に引き継ぎ、って形だった。
このクラスには来期生徒会長ちゃんが居たので、担任様に詰め寄った。
「先生どうするんですか?!男子達ほんとに出ていきましたよ!追い掛けて下さい!」
「あ、えっと、いや、そんなことせんよあの子達
先生はA君達を信じてるから
それに皆を残してはいけないから、ともかくみんな座ってー、授業の準備してー」
「信じてる信じてないじゃなく授業ボイコットしたんですよ?!分かってます?!早く追い掛けないと…!」
「でもそんな遠くまではいかないはずだから、きっと校内に居るよ
さあさ!生徒会長さん座って、」
「校外出てたらどうするんですか!
担任先生、担任でしょ?!担任なら追い掛けないと!」
と、眼を吊り上げた生徒会長ちゃんとオロオロ笑顔な担任様による堂々巡りバトルが開始した。
この頃にはもうみんな席を立って友達の席に行ってお喋りしたり遠巻きながら生徒会長の援護したりしてた。
わいも友達のとこ行ってお喋りしだした。
わい「あーあ。ボイコットだとさ」
友達「お前の登校拒否よかヤバいじゃん。地元の新聞載るかもね」
わい「ねえー。どうするつもりなんだか」
友達「…あのさ、担任っちゃんお前見てない?」
わい「は?いや気のせいでしょ」背中向けてた
友達「…………いやっ!見てる見てるめっちゃチラチラ見てくる!」
わい「えー……?」
友達「ほんとだって!見てみなって!」
わい「嫌だよ…」
友達「なんで?!」
わい「嘘だぁー…こんな時だぞ…しかも生徒会長さんと話してるんだよ?」
友達「嘘じゃないから!マジだって!」
みたいな会話して。
振り返ったらマジでチラ、チラ、って見てくるんよ
それで、なんか、ブツっとなった。
中二病で拾ったナイフみたいなガラス片を筆箱に布巻いて入れてたんだよな、この頃。
それが頭に浮かんだ。焼けた鉄のような気持ちだった。
わい「…ちょっといい加減黙らすわ、埒あかん」
友達「どうやって?」
わい「ナイフみたいなガラス筆箱に入れてんの
脅したら黙ると思う?」
友達「分かんない」
わい「ちょっとやってくるわ」
友達「いってらっさっさーい」
で。
ガラス持って担任のとこまで行った。
生徒会長の隣、と言うか、私が来たのに気付いて生徒会長が前を空けてくれた。
頭ん中が真っ赤に燃えるような、そんな感覚だったのを一等強く覚えてる。
生徒会長さんが何言うんだろって私を見てた気がするけど、泣かないのと担任から目を逸らさないので必死だったからこの辺よく覚えてない。
ただ、担任が私をじっと黙って見てたことと、あの担任を前にした時に沸き上がるいっぱいいっぱいの気持ちだったのははっきり覚えてる。
ガラスをナイフみたいに突きつけた。堪えきれなくて涙が溢れた。それでも冷静を装った。
「いい加減にして下さい。いい加減にしてくれないと、私、あんたのこと殺すかもしれません」
この時
担任は、ものすごく嬉しそうに、気色の悪い笑みを浮かべた。
大輪が咲き誇るような、にや、だった。
まるでとうとう本性を現したな!とでも言いたげな。
とっちかっつーと大人しい、一年時は登校拒否までした私の言葉に生徒会長ちゃんはびっくりしたみたいだったけど、すぐに私の援護?乗じて担任に畳み掛けた。
「そうですよ!いい加減にして下さい!!」
「で、でもね、授業は受けなきゃいけないから、」
「こんな状態で授業なんてできないですよ!!
私だってこれ以上はなにするか分かりませんよ?!」
それまでは嗜めるみたいに困った感じで笑ってたのが、明らかににこやかになったのを隠しきれない担任と。
毅然と立ち向かう、でもやっぱりヒステリー起こしそうな生徒会長ちゃんと。
…そんな彼女の背中に隠され必死で気持ち落ち着かせてるわいと。
いや、生徒会長ちゃんほんとに優しいし優秀でな。
わいが言い終えた時点で背中叩いて肩撫でてくれてな。
泣いてるの隠すみたいに背中で庇ってくれたんや。
出来が良いだろ。
自慢の我等の生徒会長ちゃんだ。
尚こののち彼女は大学でカナダに留学する。
休暇は地元帰ってきてわいのレジ並んでくれてお喋りしてくれたのが最後のエンカウント。
英語もペラペラ頭も性格も良い、ヲタクに優しい陽キャで道徳も人望もある、同年代なことが自慢になる生徒会長ちゃんだ。今なにしてんだろな彼女。幸せに生きててくれ。
閑話休題
授業なんてできる訳ないじゃないですか!
と、担任叱責するも担任は何処吹く風で堂々巡り。
その内騒ぎを聞き付けて隣?か隣の隣のクラスから、うちのクラスの副担任(男/ややおっさん/数学担当)が来た。
「こら!うるさいぞ!!」
ここで、副担任は担任が居るのにこのやかましさなことに唖然として。
教室見回して。中心系男子五名が居ないことに気付いた。
で、担任に聞いたが要領を得ないし生徒からの野次が入る。
当然よな。
あの人、他の先生にバレるのはヤベェって思ったのか嘘言い出したし、自分に優位に話はしょったんだから。
で、わあわあ騒ぐ生徒をどうにか副担任は「分かった、わぁったから落ち着け、な?」と、尋常じゃない様子から宥めにかかった。
「ともかく座れ」と。そこでめいめい席に着いた。
が、一人残る生徒が。
「生徒会長、お前も座れ」
「先生、A君達が授業ボイコットして学校抜け出しました」
「はぁ?!」
生徒会長ちゃんである。
彼女は毅然と担任様の前に出て発言権を勝ち取り、端的に状況を説明した。
ひゅー!流石俺達の生徒会長!!
すっとんきょうな声を上げた副担任は、否定の言葉を探してか曖昧な笑顔でなんかほざいてる担任様を見て、やがて疲れはてたように溜め息と「あ"ぁ"…」みたいな声をあげた。
「取り敢えず俺が迎えに行くから、お前ら、教科書xページの問題xからxやっとけ。終わったら次のページからxxページまで読んどけ
担任先生、ちょっと」
と、奴を引っ張ってゆき。やっと集団ヒステリーは収まった。
少ししてから担任様が帰ってきたが、みんな無視して教科書読んでた。
意味が理解できない数学の公式眺めてるだけの方がよっぽどマシだった。
で、暫くして男子達がちょっとご機嫌で副担任と帰ってきた。副担任の車乗せて貰ったらしい。
良いよなお前らあの修羅場味わう前に退散したんだから。ガス抜き楽しかったかよ。
凄かったぞ、生徒会長対担任の堂々巡り。
ヒートアップするほどに教室の空気が生徒会長ちゃんの気持ちに同調してヒステリックになっていってさ。
わいも早々に逃げてれば良かったって思ったぞい。
で、一応ヒステリーでガス抜き出来たので色々抱えつつやっと授業が再開した。
どのような会議がされたのか分からないが、副担任が少しの間数学担当して、メインが担任様に戻ってからも副担任様が教室に居た。
つまり数学中は先生が二人居た。担任様と、黒板触らないけど教室徘徊して分かんないとこ教えてくれる副担任。
多分これ…?と言うか担任の演説が影響してるんだろうけど、二学期からはホームルームが短縮されその時間が読書の時間になった。
担任の演説タイムが消えて静かに本読めて良かった。
肝心の担任?私に毎日「何読んでるの?」って聞いてきた位かな。
一応他の生徒にも聞いてたけどそっちはランダムなのにわいは毎日
ストーカーされてる自覚無かったから気持ち悪いなあ嫌だなあウザイなあで済ませてた。