ゲーム開始約15分前――
時空の歪みの異界に変化が。円状のゲームフィールドが出現したのだ。フィールドはバリアで覆われてるが、景色が江戸時代と大正昭和の街並みでちぐはぐなのは変わらない。
フィールドと言っても見えない壁が出現しただけらしく、どうやら異界の住人に影響が出ないようにするためだった。
鼎達プレイヤー7人のスマホにゲーム運営から通知が来た。
見るとゲームマスターからのルール一覧と、怪人を倒すと得られるポイント一覧が書かれている。怪人にはいくつか種類があるらしい。
〜ルール〜
・街に巣食う怪人を制限時間内に倒して下さい。群れは第3ウェーブまであります。
・怪人の弱点は「胸」ですが、第3ウェーブに出てくるラスボスは胸以外です。
・怪人は専用銃で倒して下さい。
・第1・第2ウェーブのフィールドは同じですが、第3ウェーブのフィールドは場所が変わり、制限時間も長くなります。
・怪人に一撃でも攻撃を受けるとリタイアとなり、自動的に無限牢行きとなります。防御は可能です。
・無限牢は内側からは出られません。外側からは開けられます。
・クリア条件はプレイヤーが最低2人残ること。
・2人残ればいいので無限牢からプレイヤーを救出することも可能となります。
・怪人の中には矢を投げてくるものもいます。矢や球に当たってもアウトです。
・ボーナスアイテムが出現することもあり。
・時空を漂う「無の存在」は敵にも味方にもなる不思議な存在です。敵になると厄介ですが、味方になると協力してくれます。
・最終第3ウェーブで最低2人が残ればクリア。第1・第2は無限牢行きでも解除されます。
「ボーナスアイテム!?」
晴斗と御堂はルールにある、ボーナスアイテムが気になった。
「たいちょーはきりゅさんと一緒に行動して!きりゅさん戦闘禁止なんでしょ!?」
「鼎、俺がカバーするから心配すんな!」
頼もしい御堂。
ゲームマスターは鼎が戦えないことを知る。
《紀柳院司令補佐、これは知りませんでした。
あなたの場合は一撃アウトではなく、『3回』攻撃を受けたらリタイアとしましょう。フィールドには休める箇所がいくつかあります。活用して下さい》
鼎だけ少しルールが緩くなった。
一撃アウトな時点で厳しいルールだが。
プレイヤー7人はこのメンバー。
・暁晴斗(17)
・紀柳院鼎(29)
・御堂和希(32)
・時任いちか(22)
・桐谷俊一郎(36)
・渋谷霧人(25)
・朝倉凛(27)
解析班の朝倉がいる違和感。男性4名・女性3名。
体育会系で体力バカの晴斗と御堂、銃火器の扱いが得意な桐谷などメンバーのバランスは絶妙。
朝倉はオンラインゲームで射撃慣れしているため、意外と銃の腕はある。解析班だが、通常の戦闘では弓矢は扱える。
生き残りゲームが始まった。第1ウェーブ、開始――
制限時間は30分。
ゲームフィールドに槍や刀など武器を持った怪人が少しずつやってくる。あの武器に触れたらリタイアとなる。
7人は単独で、または2人で次々来る怪人を倒していた。
いちかは銃の弾に制限がないとわかるや、次々撃破。
「なんだ、簡単じゃん」
いちかはどや顔。
朝倉はFPS感覚で怪人の胸を狙う。
「一撃必殺ね〜」
簡単なのは序盤だけ。10分経過した頃、怪人の一部はプレイヤーを追いかけてきた。
プレイヤー7人は散り散りに逃げる。鬼ごっこ要素もあるのかよっ!!
怪人に捕まるとリタイアって書いてなかったぞ!
追いかけてくる怪人の手にはボールのような矢が。矢に当たったらアウトかよっ!!
御堂は鼎を庇いながら逃げる。
「大丈夫か!?」
「走るぶんには問題ない」
鼎は冷静。
「休める箇所があるみたいだから探すぞ。お前は戦えないんだから無理は出来ねぇ」
「和希、ポイントは稼いでいるが?」
鼎からしたら一撃で倒せるゲームの怪人は、通常の戦闘よりは身体に負担がかからないようだ。
「お前、しれっとポイント稼いでたんか…って、怪人追いかけてきたあああああ!!逃げるぞ!!」
御堂は鼎をカバーしてる。
桐谷は淡々と物陰に隠れながら銃でポイント稼ぎ。さながらスナイパー。
敵の難易度がだんだん上がっていますね…。
いちかはワイヤーを巧みに使い、一気にポイント稼ぎをしていた。
「ヒャッハー!楽しいーっ!!」
いちか、キャラ変わりすぎ。
15分経過した頃、晴斗は油断してしまう。
「やっべ!あの怪人足速い!!うわっ!!」
晴斗、追いかけてきた怪人に矢を当てられ無限牢行きに。
これはプレイヤー6人に通知が来た。
「晴斗が牢屋行きになった!?あのバカ何やってんだ!!」
御堂、つい叫ぶ。
一方の霧人は朝倉と組んでいた。
「朝倉、俺と組まないか?」
「渋谷、どういうつもりよ?」
「あの晴斗が牢屋行きになったってことは、敵の難易度が上がってる」
「生存率を上げようってわけか…。乗ったわ!」
怪人の難易度は徐々に上がっている。いちかも牢屋行きに。
「捕まっちゃったよー」
無限牢。晴斗といちかは微妙な雰囲気。
「暁くん、捕まっちゃった…」
「時任さん、嘘!?」
晴斗はびっくりしてる。いちかは内側から必死に扉を開けようとしていた。
「やっぱり開かない!くっそー!」
ゲーム開始から約20分経過。
怪人の難易度は上がり、鞭で攻撃してくる個体も。
「鞭!?ちょっとこれ避けられねぇ!!うわっ!!」
御堂、まさかの牢屋行き。
鼎は隠れられる場所を探してなんとか攻撃している。
敵の難易度がかなり上がったな…。
この間に朝倉が餌食となり、牢屋行きとなっている。残ったプレイヤーは3名。
鼎・霧人・桐谷だ。
3人は通信していた。
「1人でも捕まるなり、矢や鞭に当たると第1ウェーブはクリアにならない。誰か牢屋に行き、助けに行くか?」
「鼎さん、リスクありますよ。…なんで逃げれているんですか?」
「隠れる場所を既に見つけたからね。これなら体力を消耗しない」
「救出は俺が向かうわ」
そう切り出したのは、霧人。
「牢屋周辺、怪人だらけですよ!」
桐谷の制止を振り切り、霧人は単独救出へ。怪人は4体いた。
そのうち1体が鞭使い。
霧人は捨て身で撃破しつつ、牢屋から4人を解放。
「逃げろ!!早く逃げろーっ!!」
晴斗達は一目散に牢屋から脱出、猛ダッシュで逃げる。霧人、怪人の攻撃に遭い牢屋行きに。
制限時間30分経過。第1ウェーブ終了。
第1・第2ウェーブは牢屋にいたプレイヤーは自動的に解放される。
「システムめちゃくちゃ鬼畜だな…」
御堂が愚痴る。
7人は休憩時間。次のウェーブはいつ来るのかさえわからない。
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